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「最初はその子の為にも、長く生きようって決心した。でも無理だった。その子をイジメた子が分かると、憎くて憎くてたまらなかった。一歩踏み間違えれば、殺してしまいそうなそんな心を持っていたの。それを知ったとき、自分が怖くなった。知らない自分を見ているようで、怖くなった」  僕は無言で彼女の台詞を聞いていると、チャイムの音が聞こえる。ピーンポーンパーンポーンと今の僕たちには不似合いな明るい音が、学校中に響き渡った。  彼女は立ち上がると、涙を拭って体を伸ばす。くるりとこちらに振り向くと、微笑を浮かべた。目の周りは少しだけ赤い。 「いやぁ、こんな暗い話ごめんね?」 「いや、僕の方こそ暗い話をさせちゃってごめん」 「ううん。ずっと誰かに話したいなぁって思ってたから、丁度良かった。今まで溜めに溜めていたこと全部外に出したから、スッキリしたよ。ありがとう」  彼女はゆっくりとした足取りでドアへと向かうと、ドアノブに手を伸ばした所で踵を返した。 「日下部君も、次の授業ちゃんと出なよ? じゃないと内申下がっちゃうぞー」 「気が向いたらね」 「留年しちゃうよ?」 「ちゃんとしないように計算してるんだ」 「へー、凄い」  彼女は最後に笑みを浮かべると、ドアノブに手を伸ばす。ガチャリと開いたドアの奥に消えていった。
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