君たちの中に嘘つきがいます

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「きゃあああっ! なになに!? なんなの?」  驚いたあずさが絶叫して、近くにいた結衣の袖をぎゅっと握る。 「ようこそ、絆を試す部屋へ。 残念ながら、君たちの中に嘘つきがいます。その人物は、君たちの誰かまたは全員に嘘をついています」 「ひゃああああ!!!」  いきなりしゃべりだしたマーライオンにまたまたあずさが絶叫し、結衣が彼女の背中をさする。 「これから、君たちには誰が嘘つきなのか決めてもらいます。 嘘つき以外の三人の答えが一致したら、三人は外に出れますが、嘘つきは永遠にこの中です。もし答えが一致しなければ、全員外に出ることが出来ません」 「え、なに言ってるの? 嘘つきって?」 「意味分からないよね……」  マーライオンの発言にまりあと早苗も混乱するが、そんな彼女たちを無視し、マーライオンは無表情のまましゃべり続ける。   「君たちの選択は、尊重します。 もし君たちが選んだ嘘つきが嘘つきじゃなかったとしても、三人に選ばれた時点でその人は嘘つきということなります」 「なに、なに、なんなの? なぞなぞ?」  あずさは結衣にぎゅっとしがみついたまま、涙声でマーライオンに話しかけるが、マーライオンはあずさの問いには答えない。 「ねえ、これアトラクションなのかな?」 「たぶんそうだよね。このなぞなぞを解けば、外に出れるんじゃない?」 「……待って。何か変だよ。さっきからこのマーライオン、ずっと日本語でしゃべってる。 ここ、シンガポールだよね?」 「……え」  アトラクションだと納得し始めたまりあと早苗だったが、結衣の発言で全員の背筋にゾッとしたものが走った。  結衣以外の三人はあまり気にとめてなかったが、そういえばさっきからこのマーライオンはずっと日本語でしゃべっている。もし親切な設計で観光客用の言語も設定されているにしても、最初は英語、次に中国語辺りが来るはずで、最初に日本語のアナウンスが来るということはないはず。  そうなると、このマーライオンは、観光客が来ると自動的にアナウンスするタイプではなく……。 「ねえ結衣ちゃん、どういうことなの? 私たち、出られないってこと?」 「分からない。でも慎重にいったほうが良いと思う」  ぶるぶる震えているあずさを可哀想に思いながらも、結衣がはっきりとそう言うと、誰かがごくりとつばをのみこむ音がした。
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