君たちの中に嘘つきがいます

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 嘘つきとは、自分のことを言われているのだろうか。もしかしたらそうかもしれないが、自分以外にも嘘をついていそうな人はいる。  だからといって、友人を売るのか?  こんなところに友人を置いていくのか?  マーライオンだけが光っている暗闇の中で、複雑な思いを抱えた四人の視線が交差する。  そのとき、結衣がマーライオンにチラリと視線をやってから、他の三人に目くばせをする。結衣の視線の意図をすぐに察した早苗がひとつ頷く。続いてあずさとまりあも何か気がついたようだったが、彼女たちが何かリアクションするよりも先にマーライオンが言葉を発した。 「さて、そろそろ嘘つきは決まりましたか?」 「……私は決まった」 「私も」 「うん」  他の三人が決まったと言った後で、まりあも覚悟を決め、こくりと頷く。 「それでは、嘘つきを指名してください」  マーライオンの機械的な声の後、四人は一斉に同じものを指差す。奇しくも、四人が指し示したものは、同じだった。
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