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四人全員から指されたマーライオンは、それでも無表情を貫いていたが、わずかに挙動に動揺が見られた。
「私……でしょうか?」
神妙な面持ちで頷いた結衣を凝視したあと、マーライオンはゆっくりと口を開く。
「君たちの選択は、尊重します。
しかし、なぜ私を選んだのか理由を伺ってもよろしいでしょうか」
「私たちの中に嘘つきはいるのかもしれない。でももし嘘つきがいたとしても、こんなところに大切な友だちを置いていくわけには行かないから。
だから、私たちが選んだ嘘つきが嘘つきじゃなかったとしても、選ばれた時点で嘘つきになると言ったことを逆手にとらせてもらった。
君たちの中に嘘つきがいる、と言ったあなたが嘘つきということにしたの」
「なるほど、そういうことですか。
しかし、普通は君たちの中に嘘つきがいると言えば、出題者は含まれないと思います」
結衣の答えにマーライオンは多少は納得した素振りを見せつつも、やはり完全には納得がいっていないようだった。
マーライオンの言うことももっともだろう。
言葉の意味としては、「君たち」の中には発言者は含まれない。「君たちの中に出題者は含まない」と、今までに絆を試された者たちも暗に理解していたし、そもそも出題者を含めて考えていた者などいなかった。友人の中の一人から指名しなければいけないものだと、みな思い込んでいたのである。
「もちろん私たちの中にいる嘘つきの中には、出題者は含まれないでしょうね。
でも、あなたは嘘つきじゃない人を指名しても良いと言った。そして、あなたを指名してはいけない、というルールはなかったから」
嘘つきが自分たちの中にいると分かりながらも、違う人物に濡れ衣を着せ嘘つきに仕立てあげた。結衣がそれを堂々と言ってのけると、マーライオンは大きく震え出した。
「分かりました。
君たちの選択は、尊重します。
それでは、永遠にさようなら」
マーライオンが大きく震え始めると同時に地面も揺れ始め、四人はどこかに大きく投げ出されたように感じた。
「きゃああああ!!」
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