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大きな揺れに四人が目を瞑ると、次の瞬間にはその揺れもおさまっていた。おそるおそる四人が目を開けると、四人はテントの外にいて、そこにはさっきまでと同じ風景が広がっている。
「私たち、出れたの……?」
「そうみたいだね。よかった……っ!」
無事に外に出れたことをひとしきり喜び合った後、まりあが再びテントの前に歩いていく。
「何してるの? やめなよ、まりあ」
「また閉じ込められたら大変だよ」
「ちょっとだけ。どうなってるのかなって」
なぜかもう一度テントに入ろうとするまりあを早苗と結衣がとめたが、好奇心が抑えきれないまりあはテントに手を伸ばす。
しかし、まりあは透明の壁のようなものに阻まれてしまい、再びテントの中に入ることは出来なかった。
「……入れなくなってる。ねえ、さっきのって何だったのかな」
「分からない。私が知りたいくらいだよ」
ひとりごとのようにまりあがそうつぶやくと、結衣が小さく首を横に振る。
「そうだよね。さっきのマーライオンって、本当にずっとこの中に永遠に閉じ込められるってことなのかな」
「その方がいいんじゃない? もうこれ以上犠牲者も出ないだろうし」
まりあが再びつぶやいたことに早苗が少し苛立ったように言葉を返すと、あずさが何か思い至ったようにうつむく。
「私たちの前にも犠牲者がいたのかな……」
「もしかしたら、いたのかもしれないね。
みんなから嘘つき認定された人がいたかもしれない。でも、嘘をつかずに生きていける人なんているのかな」
いたかもしれない犠牲者を思って元気をなくしたあずさを励ますように、結衣が彼女の肩にそっと手を置く。
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