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名探偵よ、さらば
テーブルに戻ると、娘が身を乗り出してきた。
「大きくなったら、お父さんの助手になろうかな」
「助手なんていらない」
「じゃあ私、真実を暴く名探偵になる」
「探偵の仕事に、推理や謎解きはないんだ。やめとけ、やめとけ」
娘は頬をふくらませて、皿にひとつ残ったパプリカをフォークで刺した。
これでしばらくの間、つまらないことは言わなくなるだろう。
名探偵だって? うちの娘には役不足だ。
(おしまい)
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