さくら花びらひらひらり

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 葵ちゃんは温かだ。これで眠れる。私は眠る前に私がしがみついていた母を見上げた。母の声はもう届かぬ距離だけど、やはり母は優しそうに見える。来年も蕾の中で母に沢山の質問を投げかけるのだろう。私はこの春に終わりを告げるように眠りへと落ちていく。  葵ちゃん、私もね可愛くて美しくて強くて儚い女の子なんだ。  葵ちゃん、また来年会おう。来年も通ってね。最後はまた葵ちゃんを可愛くさせてみせるから。私は覚えていないかも知れないけど、きっとまた葵ちゃんを見つけるよ。  もっと素敵な女の子になってね。楽しみにしているから。  私は葵ちゃんの髪飾りとなって深い眠りへと落ちた。  またね。 了
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