悪役令嬢の最後の一手

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 卒業パーティーから半月。  リディエスタと王子の婚約は解消となった。  公爵令嬢との婚約を破棄したマンティアーノ王子は玉座から遠のき、癒しの聖女と呼び声の高いユミアと婚約した。  ユミアは王子との結婚の為に男爵家経由で伯爵家の養女になるらしい。そして、彼女の取り巻きの男たちは王子の側近として2人について行くそうだ。  王子の離宮がヒロインの逆ハーの園になるのか。全員ヒロインに惚れてるのに、仲良くやれるのだろうか。  あれかしら、触れられそうで触れられない憧れを拗らせた感じ。  水商売の女もヤれる人より、ヤれそうでヤれない人の方が稼げるらしいし。男の扱いが上手いのだろう。  少しばかり無茶はしたけど、断罪パーティー潰せてよかった。  未だ公爵令嬢の地位は剥奪されていない。  感情的になったヒロインの取り巻きに引きずり倒され、罪の裁量を決められるから過剰な罰になるだけで、そもそも量刑がおかしいのよ。  だって、悪役令嬢は公爵令嬢。平民のヒロイン相手に何かやらかしたところで罰せられる立場じゃない。  元婚約者の王子にしたところで、やっていることは浮気。純愛したいなら、先に婚約解消しとけよ。  しかし、王家ってすごいわね。  王子、宰相子息、騎士団長子息、天才魔術師の婚約破棄を成したヒロインを聖女に祭り上げてみせた。  何しろヒロインの為に婚約者の女が悪いと騒ぎ立てた連中である。女側の家を黙らせるのにそれなりの賠償をするしかなく、彼らは揃って跡取りとしての立場を失っていた。  だからこその逆ハーの園なのかもしれないが、極力関わりたくないわ。  そろそろウチの家も王家とのお話し合いが終わり、新しい婚約者を用意するといっていた。  おそらく公爵家に逆らえないどこかの家に嫁入りして身分を下げることになるだろう。幽閉とか死亡に比べればなんぼかマシだ。  美味しい紅茶を楽しめるくらいには豊かな相手だといいのだけれど。
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