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捕らわれた吸血鬼
ハァ、ハァ……と肩で息をする。
こんなに息苦しく喘ぐのは、いつぐらい振りだ?
地に膝をつき、光の糸で身を囚われ、ただ目の前の男を見上げることしかできない今。
俺は悔しまぎれに引きつる頬で笑うしかなかった。
「……お前の勝ちだ、ミカル」
男の名を呼べば、凛々しくも柔和な顔立ちがわずかに歪む。
ミカル・アルゲッティ――漆黒の髪を持つ俺とは正反対の、まばゆく赤みがかった金髪を首筋へわずかに垂らした、腹立たしいほど高潔な男。
人間を安堵させる柔和な笑みを浮かべながら、この男は淡々と俺たち魔の者を追い詰め、えげつない術を繰り出す。情けなど一切ない。元が人間であったとしても、魔に堕ちた者への救済は死だけだと言わんばかりに。
退魔師特有の襟を詰めた藍色の服に、白い手袋。その手には俺が愛用してきた東方の剣があった。
俺が魔の者となり、退魔師どもから今まで生き延びられた要因だった剣。これさえあれば誰にも負けることはなかった――それを知っていたから、ミカルは最初からこの剣を奪いに来た。
俺と俺の従者だけなら、それでも逃げ切ることはできた。
だが他の奴らを守りながらとなれば自在に動くことは叶わず、逃がすために俺が囮となり、コイツに追い詰められてしまった。事前に術の罠を幾重にも仕掛け、私の力を削ぎ落し、ついにはこうして膝を折らされてしまった。
ミカルが俺の元へ近づき、静かに見下ろす。
「吸血鬼の王、カナイ……ようやく捕らえましたよ。どれだけこの日を夢見たことか……」
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