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苦渋の選択を告げた俺へ、ミカルが爽やかな微笑を浮かべる。
「ありがとうございます! では早速――」
おもむろにミカルは襟を緩め、首筋から肩口の肌を俺に晒した。
「これからは私の血を差し上げます。どうぞお好きなだけ……ああ、でも、死なぬ程度に加減をして下さい」
健康的な青年の血。吸血鬼になってからというもの、その甘く芳純な味わいに何度酔いしれたことか。
寝起きに加えて、ここ数日はミカルを含む退魔師たちに追い回され、疲弊し続けてきた。いつになく体が飢えを覚えてしまう。
目前にいる憎き者の血でも構わない。赤い息吹を取り込み、体と心を満たしたい。そう本能が望む反面、コイツなんかの血を取り込みたくないと理性が嫌悪する。
これからミカルの血で生かされ続けるのか、俺は。
屈辱を覚えながらも、少しでもこの男の力を削ぐことができれば、魔の者たちのためになるだろうと考え直す。
鈍い動きで俺はミカルに身を寄せると、白く滑らかな肌へと噛みついた。
「ぅ……っ……ふふ、話には聞いていましたが……クセになりそうですね」
熱く蕩けた生命の水を俺に吸われながらミカルが囁く。
吸血鬼に血を吸われている間、その者には濃密な快感が与えられる。
愛する者と性交するよりも体の芯が疼き、身も心も溶け、己が消えてしまいそうなほどの快感。俺も吸血鬼にさせられた時に味わった。
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