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「フン……当然か。この調子なら窓も同じだろうな」
忌々しく思いながら分厚いカーテンの所まで行き、端を肩で押して窓を覗く。
完全に外は明るいが、木々の影で直接日が入ってこない。随分とうっそうとした印象だが、よく見れば草木は手入れされている。
まさか俺をこの部屋に閉じ込めることを見越して木々の枝を伸ばし、重なり合わせたのか? 俺専用のベッドを作らせるくらいだ、充分にあり得る。
俺が人であれば、心から迎えようとしていることに喜ぶ――いや、人であったとしても、行き過ぎた歓迎だ。庭は感動するかもしれないが、ベッドはやり過ぎだ。
いったいあの男はどこまで俺のことを把握している? 本当の狙いはなんだ?
少しでも実情を知りたくて、俺は行動に移す。
窓の外をじっくりと眺め、木陰に咲く小さな黄色い野バラに戯れる蝶へ目を留める。
軽く魔力を込めて視線をぶつければ、あっさりと蝶は花を離れて窓辺へ飛んできた。
「力は使えるのか。部屋で暴れても構わないということか……まあいい。利用できるだけやらせてもらおう」
俺は口端を引き上げて目を閉じ、額に意識を集中させる。
――ピィン。頭の芯に青白い閃光が走り抜けていく。
次の瞬間、まぶたの裏側に外の景色が映り出す。
窓に顔を向けながら、目を閉じる私の姿――これは蝶の視線。
私は魔力で動物を操り、視界を借りることができる。
だから部屋に閉じ込められたこの状態でも、外の状況を調べることは容易かった。
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