ゆめの中

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椅子に降ろされ、テーブルの上を見ると1人分のパンと野菜ジュース。目玉焼きとベーコン、サラダが置かれていた。 ぎゅるるとお腹が空腹を訴えるものだから顔を真っ赤にすると、男の耳にも届いていたのかニヤリと機嫌よさそうにしていた。 「いただきます」 「おう、食え食え」 テレビを見ながら食べる朝食。 男は職業や名前を教えてくれなかったが、今年で35になるA型だとは明かした。 職業は教えてくれなかったが、背中にある刺青からしてロクなものじゃないのだろう。 「じゃあアオ。俺は仕事に」 「あの龍さん…」 呼ぶ名がないのは不便なので、龍の刺青を掘っているからという安易な理由でそう呼ぶようにした。 「あ?なんだ?」 「、きょ…今日は何時に帰ってきますか?」 「あぁ、18時くらいだろうな」 こうして確かめるのはちゃんと、男が戻ってくるかを知るためだ。 携帯を取り上げられ繋がれた俺は、1人残されれば孤独死してしまう。 あまり遅くない返答を聞いて、思わず安堵した。 「心配しなくても、ここは俺とアオの家だからな。ちゃんと戻ってくるさ」 わしゃわしゃと頭を撫でられるとむぅっとした苛立ちが芽生える。 「………ここのは俺の家だ。龍さんは、余計なんじゃないですか?」 「いま家賃や光熱費やらやらを払ってんの俺だぞ?」 それは貴方が俺を監禁してるからでしょう!?と言いたかったが口をつぐんだ。 逆鱗に触れたくない…というのもあるけど、なにより… 「じゃ、いい子で待ってろよ?」 「んっ、…いってらっしゃい」 軽くキスをされた後、男を見送る。 強面な顔なのに俺と目が合うと途端に優しく、甘くなる。 俺は、その瞳をみていると…何故かドキドキと心臓が跳ねる。
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