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ゆめの中
爽やかな朝の日差し。
パンと何かを炒めている音、珈琲のいい香り。
「……んっ、」
その幸せの匂いで目が覚めた。
「おはよう、アオ」
「…………」
マグカップを持って俺の前に立っているオールバックの似合う野生みのあるワイルドな男。
身長も俺よりずっと高く180センチ以上あり、鍛え抜かれた筋肉とそのシャツの下には…立派な刺青がある。
「なんだ?またダンマリか?」
「っ、おはよう…ございます…」
低くなった声に警戒し、朝の挨拶をした。
「朝メシ、食うだろ?」
「…はい」
そう言いベッドから降りようとするも足腰に力が入らず、ドサっと落ちてしまった。
「おいおい、大丈夫か?」
「っ、平気です…!」
強気な発言して起きあがろうとするもガクガクと震えるばかり。
「いいから無理すんな」
はぁと男はため息一つ吐くとマグカップを床に置き、俺を抱き上げた。
ジャラ…っと鎖の音が耳に入って悲しくなる。
俺の名前は、イトウ アオ。
年齢19歳の大学生。実家は遠く、バイトで生計を立てながらこのユニットバス付の賃貸ワンルームに…ひとりで住んでいた。
この男は1ヶ月ほど前、突然この家に押しかけると気を失うまで俺を抱いた。
そして次に目を開けた俺は…鎖に繋がれ、監禁されていた。
何故そうしたのか、意図はわからない。
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