日常36 でっかぁ~い!

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今日は朝からみんなで車でお出掛け。運転手は飼い主、助手席にはユズの飼い主。そして後部座席には座席に座るミィとユズ。足元のバケツにはプヨが入っていた。 「今日はどこに行くんだろ?」 車の揺れに合わせて水が揺れる中、バケツから顔を出したプヨがミィたちを見上げながら聞いた。 「ウチもわかんなぁい。」 「オイラも!あれ、でもピョンは?」 「ピョンは暑いの嫌いだからお家にいるってさ。ウチは一緒に行こうって誘ったんだけどなぁ。」 ミィがつまらなそうに頬を膨らませながら答えた。 「今日は前のお出掛けよりも車の時間長いね。」 「そうだね。ウチ、車好きだからいいけど。」 ミィはもう機嫌を直して窓に前足を置いて、外の景色を眺めた。外の景色が凄いスピードで流れていくのを首を左右に振りながら見続けていると、いつしか頭が混乱してそのまま後ろに倒れてしまった。 「うわぁ。」 ユズの真上に乗っかると、そのまま転がり椅子から落ちて、プヨはバケツに顔を突っ込んだ。 「うわぁぁぁぁっ!ミィ!!」 プヨが驚いて水面を飛びはね、ユズが慌ててミィの首根っこを咥えて椅子に引っ張り上げた。 「…フニャ?」 何が起きたかわかっていないミィはキョトンとした顔をした。 前で楽しそうに会話していた飼い主がふと、ミィたちに目を向けると、シートや床が濡れているのを見て慌てた表情を浮かべた。ユズの飼い主も顔だけずぶ濡れのミィを見て、クスクスと笑った。 それを見たミィたちの飼い主も吹き出すように笑うと、楽しい雰囲気にミィたちも笑い始め、車内は笑い声とミィたちの鳴き声がこだましていた。 ただ、一人、いや一匹、プヨだけはミィに潰されるという恐怖から立ち直れずに真っ青な顔をしていた。 運転していた飼い主が外を指差しながら何かを知らせた。 「…うみ?」 ユズが首を傾げながら呟いた。 「うん、今うみって言ったよね。何だろ、美味しい食べ物かな?プヨ知ってる?」 プヨは気分を持ち直して、前にテレビでその言葉を言ってたことを思い出した。 「うみ…テレビで見たことがあるような…なんだっけかなぁ。…あ!なんかでっかい水たまりと、大きな砂場みたいな。」 「水たまりと砂場?」 食べ物を期待していたミィはちょっとがっかりしたような表情をしながら、また窓に前足を置いて外を眺めた。 「っ!?うわあ、でっかぁ~い!!」 ミィは目の前に広がる初めて見る海に目を奪われた。快晴の太陽の光が海面をキラキラと輝かせていて、とても綺麗だった。 「オイラも!」 ユズも急いでミィの横で海を見た。 「すっげぇ~!!」 ユズは大きく尻尾を振って喜んだ。 海水浴場の駐車場の看板が見えてきた。飼い主は車を右折させ駐車場に入った。
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