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その鍵を握りしめ、小鳥は騒ぐ胸を宥めようと呪文のように呟く。
「大丈夫、いつも通り。いままでの私でいいの。きっと、そう」
コドモみたいに思われていてもいい。なにもかもが初めてでぎこちなくてもいい。翔兄はきっとわかってくれている。
カモメの合い鍵を握っていた手を開くと、それでもうっすら汗が滲んでいる。
緊張しているのは、『初カレシ』が出来ただけじゃない。
誕生日の、ハタチの夜に。恋人になった彼から『おいで』の合図。
小鳥の乳房の下には、『予約』といいながら彼が口づけた痕がまだ残っている。
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