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どんな顔? 声にならず、でも彼の眼だけをじっと見つめる。あの翔兄も、大人のお兄ちゃんも、頬がほてっているよう……。お兄ちゃんの目が潤んでいる。だとしたら、私もそんな目で彼を見つめているの?
熱く見つめてくれる翔兄が言った。
「もう一度、してくれないか」
小鳥のそういうまっすぐさが、俺を元気にする。だからもう一度……キスを。
うん、いいよ――。
そう言おうとしたのに。突然、倉庫の壁に押しつけられ、翔から小鳥の唇にぶつかってきた。お前からしてくれと言ったくせに、待ちきれないみたいに彼から吸いついてきた。
背中を壁に押しつけられて、逃げ場がなくて。でも小鳥も逃げない。彼に押されたら、押し返すぐらいに抱きついて唇を吸った。
いままでにない激しいキス。彼に負けないよう濡れる唇をむさぼる。
スキ、好き、大好き翔兄。
キスとキスの間に熱い息で囁く。
体温と体温が混ざりあって、二人の体温が一緒になる。熱い体温。
唇と唇が濡れる音をたて静かに離れる。
「くそ。本当にタイミングが悪い」
壁に小鳥を囲ったまま、翔が拳を握って壁を叩いた。
彼が悔しそうに唸る。
「いまから親父さんたちと三坂峠へ流しに行くんだ」
「三坂に? ダム湖じゃないの?」
「おびき寄せるコース的には、距離がある三坂が良いということになったんだ」
おびきよせる!? そんな作戦が開始されるんだと小鳥は驚く。
「それがなければ、このまま小鳥を連れて帰るのに」
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