2.お兄ちゃんが待ってる

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2.お兄ちゃんが待ってる

小鳥、ハタチの誕生日。おめでとう! 乾杯!!    いつものサークルのメンバーが居酒屋に集まって、小鳥の誕生日会をしてくれた。  幹事は提携している国大アウトドアサークルのサブリーダーである勝部先輩と、小鳥の親友である『花梨』。 「ということは、小鳥もついに俺達と一緒に酒が飲めるってわけだ」  テーブルのど真ん中に座らされた小鳥へと全員の視線が集まる。だけれど小鳥が持っているのはオレンジジュース。  やっぱりね。と思いながら、小鳥はキッパリと言い返す。 「絶対ダメ。エンゼルに乗って帰るから」  国大生の男子達が『あー』と気の抜けた顔をする。 「つーかさあ。お前が車を乗らない日ってあるのかよ」 「そうだ、そうだ。いつ飲む日が来るんだよ」 「飲まなくちゃいけないの? 飲まなくても楽しくできるよね」  また男子達が呆れた顔をした。だけど小鳥ももう子供じゃない、男子と食い違えばとっくみあいをしていたのはもう昔の話。 「お酒が美味しくて気分がアガることでみんなと楽しくできるのは私もわかっているよ。じゃあ、今度、先輩のランドクルーザーに乗せてもらった時に飲むね。その時に私でも美味しく飲めるお酒、教えてくださいね」  笑顔で返すと、やっと彼等もご機嫌な笑みを揃えてくれる。  誕生日会とは名ばかり、それを名目にしてただ男と女が集まってわいわいと楽しく過ごしたい。そんな集まり。だから時間が経つと『いつも通り』。 「すいませーん。このお皿、下げてください。あと、中ジョッキを四つと、冷たいお水を二、三杯、持ってきれくれますか」
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