15.龍星轟、狙われる?

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 私が囮になる!  いえ、俺に彼女の車を運転させてください。    いつも後先考えずに、気持ちだけで突っ走ってしまう小鳥を止めるかの如く。翔も『俺が囮になる』と小鳥の前を遮った。  無茶をする小鳥を止めるため? いつも気持ちだけですっ飛んでいく子供のような彼女を、大人の彼がそれとなく諫めている? 私、また子供ぽいことしたのかな? ふと勢いが止まる。 「どちらも却下だ。囮は使わない。いいか、小鳥。勝手なことすんなよ。龍星轟の俺達は俺達でいろいろと考えて、車で詰め将棋しているんだからよ。乱入して台無しにしたら勘当する」  そこまで言われ、小鳥は後ずさった。父親の凄むガン飛ばしに震え上がる。 「わかったな、小鳥。これでいいだろ、翔。この娘に余計なことは父親の俺がさせねえから、おまえまで無茶なこと言い出すな」  お騒がせ娘のやることに引きずられるだなんて、おまえらしくない――。父が静かに付け加えた。  いつもはなにごとにも落ちついているおまえが、どうしてそうなる。今度は言葉にせず、眼だけで父がそう言っている。小鳥にはそう見えた。  父は薄々勘づいている。娘とこの男が深い関係になり始め、やんちゃな娘が考えなしに飛んでいく方へと男も引っ張られてしまっているんだと警戒しているようだった。  もしかして子供っぽい自分は、お兄ちゃんのためにならない? 「いえ、社長。お嬢さんが参戦するしないとは別に考えていることがあります。まさかここでお嬢さんが俺の考えの『邪魔』をするとは思わなかったので、つい遮りましたが……」  え、『別の考え』? 小鳥と英児父は似た顔を揃え、一緒に驚きの目を彼に向けていた。
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