2.お兄ちゃんが待ってる

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 外では無愛想。人見知りが災いしてそれが誤解を招くこともあるが、自宅ではおちゃらけたやんちゃ坊主。外ではなかなか地を出せないふたりだからこそなのか、龍星轟という場所で会っては、楽しそうにしている姿を姉として見てきた。  それは親友の花梨も同じで、彼女も龍星轟には良く出入りしているので、こちらもいつのまにか『姉心』が芽生えているようだった。 「ちょっと。他のサークルはそうかもしれないけど、うちは絶対にダメだからね。そう決まっているの!」  二、三人の男子がスミレに突き出していたチューハイグラスを花梨が片っ端から奪ってテーブルにおいた。 「なんだよ、いつも邪魔しやがって。じゃあ、花梨が飲め」  男達が飲め飲めと花梨を煽る。こういうことも毎度のことで、小鳥はいつもここでハラハラしている。今夜だって自分がハタチになったことで、あんなふうにされるんだと案じていたそのままを花梨が押しつけられている。  だけどそこは強気の『花梨ちゃん』。強引に別の話題へ持っていく。 「ねえねえ、そんなことより! 国大にドライブサークルができたってホント? 一年生しかいないのかな。ねえ、小鳥ちゃん知っている?」  ドライブサークルと聞いただけで、そこにいた男子三人が眉間にしわを寄せた。 「ああ、うん。小谷君が立ち上げたらしくって」 「えーー。小谷君って、1コ下の小谷君!? 小鳥ちゃんと同じ自動車愛好クラブにいた二年生だった小谷!?」  わざとらしい花梨の声にたじろぎながらも、小鳥も『そうだよ』と返してみる。
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