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いつもの断りが来たので、小鳥は直ぐに遮った。カノジョの許しを得ると、もう彼は優しいお兄さんではなくなる。
ぴくりと小鳥は小さく震える。泣きたくなるような切ない熱さが胸先にともる、そして熱く灼ける。
「お、おにいちゃん……」
「わ、わかってる。ここじゃ、駄目だって……駄目だと、俺だって……」
小鳥を抱くのはここではない。ハジメテは車の中ではない。きちんとしたところで、ちゃんとじっくりゆっくり……抱くと決めている。まるで自分に言い聞かせるように、翔は息だけの声で呟いている。
なのに、なのに。彼の手がついに小鳥のデニムパンツのボタンを外し、手際よくジッパーも降ろしてしまった。そこにすかさず大きな手が潜り込んできて、さすがに小鳥も驚きを隠せない。
それでも小鳥ももう……。お兄ちゃんにキスをされながら、黒髪を愛おしそうに撫でられて、彼の目が小鳥の目だけを見つめてくれるから、そのまま許した。
そこに入ったなら、男の目的もひとつ。窮屈なのに、翔の指先がショーツの中へ。奥へとかき分けて、そこで感じたものを知っても……。彼の黒い目は小鳥から離れない。小鳥も頬を熱くしたままその目を見つめ返すだけ。
「この前と違う」
熱く濡れた彼の指が、奥で滑っている。この前と違う。小鳥も感じていた。私……、この前より濡れていると。
「少しだけ、」
そう囁いた翔の指先が躊躇いもなく、小鳥の奥へと滑り込んできた。あの日のように、男が小鳥の身体の中に熱く侵入してきた。
小鳥は目をつむった。奥で突き立てられた痛みを思いだして……。
い、痛くない。
「今夜の小鳥は、ここが……ドキドキしているんだな」
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