16.車のように愛して

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 いつもの断りが来たので、小鳥は直ぐに遮った。カノジョの許しを得ると、もう彼は優しいお兄さんではなくなる。  ぴくりと小鳥は小さく震える。泣きたくなるような切ない熱さが胸先にともる、そして熱く灼ける。 「お、おにいちゃん……」 「わ、わかってる。ここじゃ、駄目だって……駄目だと、俺だって……」  小鳥を抱くのはここではない。ハジメテは車の中ではない。きちんとしたところで、ちゃんとじっくりゆっくり……抱くと決めている。まるで自分に言い聞かせるように、翔は息だけの声で呟いている。  なのに、なのに。彼の手がついに小鳥のデニムパンツのボタンを外し、手際よくジッパーも降ろしてしまった。そこにすかさず大きな手が潜り込んできて、さすがに小鳥も驚きを隠せない。  それでも小鳥ももう……。お兄ちゃんにキスをされながら、黒髪を愛おしそうに撫でられて、彼の目が小鳥の目だけを見つめてくれるから、そのまま許した。  そこに入ったなら、男の目的もひとつ。窮屈なのに、翔の指先がショーツの中へ。奥へとかき分けて、そこで感じたものを知っても……。彼の黒い目は小鳥から離れない。小鳥も頬を熱くしたままその目を見つめ返すだけ。 「この前と違う」  熱く濡れた彼の指が、奥で滑っている。この前と違う。小鳥も感じていた。私……、この前より濡れていると。 「少しだけ、」  そう囁いた翔の指先が躊躇いもなく、小鳥の奥へと滑り込んできた。あの日のように、男が小鳥の身体の中に熱く侵入してきた。  小鳥は目をつむった。奥で突き立てられた痛みを思いだして……。  い、痛くない。 「今夜の小鳥は、ここが……ドキドキしているんだな」
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