16.車のように愛して

10/11
前へ
/316ページ
次へ
 俺の指に、熱く脈打っている。男の吐息が熱く小鳥に降りかかる。彼の指が今夜は前よりも滑らかに蠢いている。その度に、小鳥の中が熱く灼けつく。 「だめ、翔兄……、お願い、」  彼のシャツを握りしめ、小鳥は彼の肩先に額を押さえつける。  うそ、痛くない。まだ痛みがあるけど、この前と全然違う。いや、おかしくなる。私、もうこのまま、着ているシャツもデニムも、ショーツも全部脱ぎ去って、素肌のまま彼に抱きつきたい。彼の肌の匂いにしがみつきたい。  そういう渇望がとろけきった眼差しに見て取れたのか、喘ぐ小鳥が堪らないとばかりに彼も黒い目を熱く揺らしている。 「翔兄、もっとキス、して」  望んだとおりに、小鳥の小さな唇を翔は強く吸ってくれる。  身体中、望んだ男に愛されるって――こういうこと。中も、愛されるって……。 「痛くないよ……、翔兄……、すごくいい」  彼の首にきつく抱きついて、小鳥は喘いでいた。子供のはずなのに……、こんなに、感じている、私。だんだん身体がほどけていく、甘く熱く。 「俺の部屋に行こう。ここは駄目だ」 「うん。行く、お兄ちゃんのところに行く」  今夜こそ、彼の女になれる。この前とは違う。身体が、いやらしいほどに彼を望んでいるのがわかる。指じゃない、彼ので貫いて欲しいって。  絡んだ腕と腕をなかなかほどくことができない。一度熱くなった身体と身体は離れがたい。小鳥だけじゃない、彼も駄目だと言いながら、小鳥の中から指を抜いてくれない。  お互いが深く深く抱き合うってこんなことなんだと――。彼と唇を深く愛しあいながら小鳥はその熱さに理性を奪われ、とろけていきそうだった。 「さあ、行こう」 「うん」
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2648人が本棚に入れています
本棚に追加