17.ランエボ男の正体

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 やっぱり、アイツは卑怯。反対車線にいながら、こちらのMR2へとハンドルを切って突っ込んでくる。  矢野じいが言ったとおり。アイツはキチガイ! 自分の車だってただじゃ終わらないだろうに、まるでランエボを()(にえ)にするかのように乱暴に突っ込んでくる。 「この野郎。二度も、二度と、エンゼルを壊されてたまるか」  翔がハンドルを大きく切る。クラッチからアクセルへと長い足が激しく動き、ハンドルも忙しく回す。車のリア(後部)が大きく滑った。  小鳥の額に汗が滲む。ランエボと差し違える寸前、この古くて狭い海岸線、リアが振れたら後ろの防波堤にこすれる――、またエンゼルが――。だがやはり彼は乗り慣れている男。すれすれにかすめ、エンゼルをドリフトで反転させランエボをかわしきった。  すごい、やっぱりお兄ちゃんはすごい! 私だったら、いまのぶつけている!  MR2にかわされたランサーエボリューションも、翔がかすめた海側の防波堤すれすれで停車した。 「いくぞ、小鳥。コイツを親父さんのところまでひっぱっていく」  すかさず翔がアクセルを踏む。ランサーエボリューションがいなくなった反対車線へと発進させた。
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