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「そうだ。小鳥が乗っているエンゼルだから、ぶつかったんじゃない。俺の元愛車だからぶつかってきたんだろう。つまり、向こうはこのMR2のナンバーを覚えていて、このMR2だから襲うと決めていたんだ」
さあっと小鳥は青ざめる。どうしてお兄ちゃんが狙われるの? じゃあ、さっきもぶつかってこようとしたのも、お兄ちゃんが運転席にいたから? いまも執拗に追いかけてくるのは、お兄ちゃんが運転している車を見つけたから?
さらに翔兄が続ける。
「向こうの運転手は、俺がこの青いMR2に乗っていたことを知っている男だ。なおかつ、俺がMR2からスープラに乗り換えたことを知らない男――」
「それで、一番最初にお兄ちゃんが乗っていると思って、私が運転しているMR2に体当たりをしてきたってこと?」
「そう。だけれどぶつけた時にライトに当たって見えた運転手の顔が俺ではなく、女だった。だからひとまず引き下がった。その次にぶつけたのはマコのNSX――」
あっ。小鳥もやっと見えてきた!
翔がなにを思って、『俺が狙われている』と思うようになったのか。そういう考えを起点にすると全てが繋がっていく――!
「まさか。マコちゃんのNSXにぶつかったのも……。お兄ちゃんが乗っているかもと思って?」
「そうだ。MR2に乗っていたはずの男が、MR2を手放して他の車に乗り換えた。だったらどの車に乗り換えた?」
「お兄ちゃんが次に乗り換える車にしたいと言っていた候補は、スープラに、セリカ。そしてお兄ちゃんは、ホンダのNSXにも惚れ込んでいて、いつか乗りたい車のひとつだよね」
そうだと彼が静かに頷いた。
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