2.お兄ちゃんが待ってる

6/10

2648人が本棚に入れています
本棚に追加
/316ページ
「そーよ。先輩達だって、好きなことをとことん突き詰めようとする趣旨なんか、まさにオタクじゃない。登山部でもワンゲル部でもないのに雪山で天体観察をしようとか、北海道の雪山斜面でスノボーに挑戦とか、とんでもなくリスキーで面倒くさい遠出ばっかり。よっぽど好きな女子じゃないとついていかないって」  彼等の悩みもまたそこで。趣味もとことんやろうとするので、気軽に交流したい女子大生がなかなか集まってくれないのだとか。  時には男子と、時には女子と、気楽に集まってわいわいしたい。だけど同じ趣味の仲間とはとことんやりたい。その利害が一致して、小鳥のサークルと提携してくれたのだ。この二サークルが集まる時は『楽しいアウトドアなおでかけ』という決まりになっている。たとえば、観光名所へおでかけとか、キャンプに海水浴に野外バーベキュー、スキーにお花見に……など。楽しい交流を目的として提携している。 「俺らは、酒飲んでも明るく楽しい男達だけど。あいつらは車だけ、だろ」 「気の利いたことしてくんねーぞ。ああいう奴らは」  それ言い過ぎと小鳥は言い返したいが、『既に言い返せない状況』になっているのは内緒の話。  後輩の小谷圭太朗はまさにそういう『勉強は出来るが、異性には奥手な真面目男子』、小鳥と花梨には慣れているが他の女子数人を連れていくと、しどろもどろな男子になってしまい、女友達の反応はいまいち。ここの彼等が言うように『うーん、車を中心としたおつきあいはちょっとー』という結果は既に出ていた。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2648人が本棚に入れています
本棚に追加