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21.苺が好きな女の子は――
今夜、自分の身体を綺麗にしてくれた湯は甘い味がした。
だからきっと、彼もそれをかんじてくれるはず。
優しく包まれる香りに守られ、小鳥は淡い明かりだけになったベッドルームへ。
「翔兄」
寝そべって待っていてくれた彼の側に小鳥は歩み寄る。
彼の浅黒い素肌も、しっとり汗を滲ませて柔らかに艶めいている。
起きあがった彼が静かに小鳥の手を引いた。慣れていない女の子を見るように、彼が小鳥の顔色を窺っている。
いざとなってまた、彼女は怖がらないだろうか。そんな案ずる優しい目に見えた小鳥は、そこで『大丈夫』と伝える代わりに、自分からバスタオルをほどいた。
仄かな明かりに、自分の白い肌が浮かび上がる。それを目の前に差し出された彼も驚きもせず……。でも、そのまま小鳥の素肌に抱きついてきた。
彼が変貌する。小鳥の肌、そこがどこだからなんて関係なく、彼はそこらじゅう隈無くキスを繰り返してくれる。
「小鳥、ことり」
そのキスがついに乳房の赤い頂きに触れた。まだ柔らかに開いたままの薄紅の花にキスが落とされる。優しく舌先が触れたかと思うと奥に強く含まれ、急激な痛み……、でも小鳥の胸はいっきに熱くなった。
「翔、にぃ……」
彼の黒髪の頭を抱きしめる。自分の肌に乳房に彼が埋もれていく――。
「小鳥、こっちだ。おいで」
なんて優しく言ってくれたようでも、小鳥の手首を強く掴んだ翔は、強引にベッドへと小鳥を押し倒していた。
彼の体が温めてくれていたシーツに沈む女の裸体。まるで自分ではないような大人の女の身体。その真上に男が覆い被さる。
港が近い彼の部屋。静かな冬の夜――。そこで少しだけ、ふたりで見つめ合う。
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