21.苺が好きな女の子は――

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 唇も熱いけれど、とうとうそれよりも熱い塊が、小鳥の身体を下から裂いていく。その痛みが駆け上がってきた。  ――やっぱり。痛い。 「お、お兄ちゃん……」 「ま、まだ、だ」  また、身体の奥に熱い痛みが。  あっ。痛い。その言葉を小鳥は唇をひき結んで、深く飲み込む。その代わりに、彼の背に爪を立てていた。 「はあ、あ……、あ……翔にい……」  じわじわとその痛みがお腹の下で熱くとどまっている。でもおかしい? 痛くて熱いのに。甘い疼きが微かにある。 「あん、翔、翔……にい」  あと少しだ。彼の息だけの声が耳元に聞こえた。  私も彼も、汗びっしょり。でもその肌と肌をぴたりと重ねてひとつになっている。  はあはあと荒い息しかつけない。痛いのか熱いのか、でも彼と一体になっている高揚感が綯い交ぜになって、なにもかもが蕩ろけてしまいそう。はじめてそう感じた。  気持ちいいって、官能的な快楽じゃないんだね。それだけじゃないんだね。痛くても、こんなに彼が私の身体を壊すほどに欲しがってくれて愛してくれる。そういう身も心も満ち足りて、肌を熱く重ねることの……。  彼も我を忘れているみたい。耳元でずうっと小鳥小鳥といいながら愛してくれている。  彼の手と小鳥の手が、シーツの上で堅く結ばれている。小鳥じゃない。翔の方がすごい力で握っていて離そうとしない。  痛くて痛くて熱いそこを男の力でめいっぱい壊さないよう、翔の男の力はそこに集中してくれているようにも思えた。  繋がれるところはなにもかも、繋いだ。男と女だけのヒミツも、唇も、腕も、手も指先も、足までも絡めて。
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