22.いつから大人?

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 そこまで語ってくれた翔が急に、小鳥を腕の中へ固く固く抱きしめる。 「たぶん、この時。MR2に乗って飛びしていったあの日からだ。小鳥が大人の女になっていくんだと、子供ではなくなったのは――」  そ、そうだったんだ。やっとわかった。『いつから子供ではなくなっていたの?』。小鳥のこれまでの不安。まだ子供のはずなのに、ハタチの誕生日を前にして急にお兄ちゃんが小鳥を『女』として見るようになって、触れてくれるようになったと。 「ここ一年は、相当な我慢だったなー」  彼が笑い出した。そして抱きしめている小鳥の耳元に、翔は静かに鼻先を沿わせて……。 「こんな女っぽい匂いがするのに。もう小鳥が無防備すぎて。俺にも他の男にも」  お洒落な恰好じゃない、綺麗な容姿でもない、それでも魅惑的な女には、いい匂いがする雰囲気がある。英児父が時々言うことだった。それを彼が小鳥にはそれがあると耳元にキスをする。 「そ、そうだったの?」 「そうだよ。車の中で二人きり。キスをしてくれた小鳥じゃない、俺のほうが相当我慢していたんだよ。だいぶ前から小鳥を襲いそうで危なかったんだぞ。他の男と出かけていくのだって、女らしくないから誰も相手にしてくれないから大丈夫とか子供だから大丈夫とか、なのに長い足を出してでかけたり、胸元が良くわかる服を着ていったりして、気持ちも服装も無防備にもほどがある。本当にもう親父さんと一緒に、俺も心配で心配で。だから『せめて』夜のドライブは俺と一緒にいて欲しいと思って、一緒にいることだけは死守してきたんだからな」
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