26.やんちゃ娘と淑女

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 瞳子さんは英児父に呼び出され、それに応じてくれるのだろうか?  「ところで、小鳥。スープラのキーホルダーにつけていた俺の指輪。どうしたんだ。小鳥が取っていったんだろ」  今朝。彼を置いて部屋を出て行く時、彼のリングを小鳥は持って帰っていた。 「しばらくの間、貸して」 「どうして」 「お願い。貸して。ちゃんと返すから」  翔は訝しそうにしていたが、小鳥には考えがあった。  今日、それをしたかったのにできなかったから。また後日。    ―◆・◆・◆・◆・◆―    三日以内に来い。  英児父が、瀬戸田という男に突きつけた最終通告だった。  その三日目に、龍星轟の英児父宛に、向こうの弁護士から連絡があったということだった。   「小鳥、暇なら洗車とワックスがけを手伝ってくれねえか」  あれから最初の週末のことだった。いつもならアルバイトに出ているのに、謹慎中で小鳥は自宅で暇を持て余していた。  そんな時、仕事中の英児父が二階の自宅まであがってきて、部屋で本を読んでいる小鳥に声をかけてくれる。 「いいの? 龍星轟だって客商売だよ。こんな顔を見せたら……」  腫れは引いたが、口元にほんのりと青黒い痣が小さく残っていた。これは数日経ってから出てきたもので、腫れが引いて顔立ちが戻っても割と目立つものだった。 「いいんだよ。おまえがどうしたかなんてもう知れ渡っているだろうよ。父ちゃん、これから外回りで忙しいんだわ。頼むな」  小鳥が『でも』を言い返す前に、英児父は部屋のドアを閉めた。  ひさしぶりの強引な父親に唖然としたが、小鳥は重い腰を上げクローゼットを開ける。
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