26.やんちゃ娘と淑女

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 黒のランサーエボリューション。小鳥も知っている兄貴の車。 「高橋兄ちゃんのランエボも直ったね」  黒い車のボディ左右に分かれ、互いにまずはルーフからワックスがけをする。 「ああ、よかったよ。こちらはランエボ同士でムキになって峠走行の勝負をして、瀬戸田の幅寄せを避けようとして自損だったけどな。それでも小鳥のMR2より当たりも酷かったし、部品の取り寄せもあって時間かかった」 「高橋兄ちゃんにも怪我がなくて良かったよ。でも、高橋のお父さんと一緒にすごい怒っているんだってね。同じランエボ乗りなのに、卑怯な走りをするって……。ランエボ乗りとして許せないって言っていたもんね」 「赤ランエボの高橋さん、ランエボ父ちゃんも息子が巻き込まれたことを心配していたから、社長も瀬戸田のことは報告したみたいだ」 『そうなんだ』。それでも白のランエボXに当てられて、龍星轟に運ばれてくる車はもうない。  龍星轟開店当初からの常連客である、赤いランサーエボリューションに乗り続けてきた『高橋のおじさん』。息子さんも免許を取ってから、黒いランサーエボリューション乗り。『ランエボ親子』と言われている。親父さんは英児父と一緒によく走り、息子は翔や小鳥と一緒に走ることが多い顔見知りだった。 「小鳥も当たられたことを耳にして、親子でまた怒っていたみたいだ」 「どうなるのかな。瀬戸田って人。お父さんとお母さんが話していたけれど、顧客さんが被害届を出す気があるかないかだって言っていたから」
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