30.小鳥と次にやりたいこと

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「小鳥らしいな、ほんとうにもう」  だけどどうしてか、翔と瞳子さんがそこで目を合わせて笑いあっている。 「翔が言ったとおり。根っから車屋さんの娘さんね」 「それに合わせて、最近は珈琲や喫茶に夢中だ」  やっとカップを手にして彼が珈琲を飲んだ。 「滝田社長、お父さんから聞いたわよ。いま、真田珈琲の本店でアルバイトをしていらっしゃるんですってね。将来は、長浜の親しいおじい様のお店を継ぐんだとか」 「そんなことまで話したんですか。あの父は……」  翔のために、本当の経緯を聞きにいったはずの父が、指定した場所で娘の話をしちゃっている。 「そのお顔になった為に、謹慎になったんですってね。珈琲を持ってきてくださったのが、真田の専務さんだったかしら。お父さんとお二人で挨拶を交わしていらして、その時に、お父さんが『バカ娘は元気だから心配しなくていいよ』と専務さんに……。専務さんホッとした顔していらしたわよ」  おじさんが本当は気にしてくれていたことを小鳥も知る。そして英児父が本店に行ったのはそれもあったのかもしれない。
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