31.愛シテアゲル

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31.愛シテアゲル

「今年は引っ越そうと決めていたんだ。もうあの部屋を引き払う」  思い出す。彼の部屋に不動産のチラシに雑誌があって、付箋がいっぱい貼ってあったことを。あれは新居を探していたということらしい。  それでも小鳥は驚きを隠せない。 「ま、待って。あの、お、お兄ちゃんが心機一転、お引っ越しするのは良いと思うけど。でも私と暮らす――だなんて」 「わかっている。すぐにそうするのは小鳥も躊躇いがあるだろう。まだ学生だ。成人したばかりだ。親父さんだって小鳥が家から出て行くだなんて考えてもいないだろう」  じゃあ、どうして……? 小鳥は無言で彼の目に聞いた。 「小鳥の部屋も取ろうと思っている。最初は通いでいい。でも、俺は親父さんに伝える覚悟は決めている」  そのまま翔が迷わず言い放つ。 「娘さんと一緒になる覚悟をしている。だから一緒に暮らしたいと」  わ、わ、わ。待って、待って、待って! 小鳥の頭の中が熱く沸いてきた。 「そ、そ、それって、つまりその……」 「結婚前提に決まっているだろ」 「に、に、兄ちゃん! 私、この前、お兄ちゃんのカノジョになったばかりだよ!」 「身体と確認が最後に来ただけで、俺的にはとっくに彼女だったけどな」  わー! もう小鳥は叫びたくなった。  だって、この前まで『お兄ちゃんに告白する。でも……出来ないよ!』とのたうち回っていたのに。やっと想いが通じて、あんまり年の差があるから『子供な私をどうしていつから好きになったの』と戸惑っていたのに。エッチがなかなかうまくできなくて、やっとやっと彼とひとつになったばかりなのに!? いきなり『一緒に暮らそう。一緒になろう』!?
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