31.愛シテアゲル

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 まさかの、プロポーズ!? もっともっと大人になってしっとりロマンチックにその日が来るかもと漠然と夢見ているだけだったのに!? 「言っておくけどな。俺って適齢期ってヤツなんだよ。もともと女にそれほど興味もないから、これから先も小鳥以外の女なんて考えられないだろうし、俺はいつでもOK。ただ小鳥がまだ学生で若いし、小鳥には目標と夢があるから、そんなすぐにとは思っていない」 「お、お兄ちゃん。私が子供だからって、だから、からかったりしたらいけなんだよっ」  嬉しいというより、大パニック。向こうは小鳥を大人の恋人として見てくれているのに、こんな時に自分で自分を子供にしてしまっている。  彼が呆れた顔でため息をつくと、なんだががっかりしたようにスープラのボンネットに腰を落とした。 「……だよな。やっぱり、小鳥はまだ若いんだな。結婚なんて考えたこともないか」  そう、考えたことなんてあるはずもない。夢見ることがあっても、つい最近まで小鳥の夢見るは結婚よりも、大好きな彼の『カノジョ』になることだったから。 「いいよ。小鳥。だけれど、大学を卒業したら俺と一緒に暮らしてくれないか」 「そ、そんなに今、決めなくちゃいけないこと?」  先をどんどん勝手に決められていくような錯覚に陥った。もちろん、大人の彼が結婚を考えるのは当たり前だと思ったし、夢見ていたことがいっぺんにやってきたみたいで嬉しい、でも! 「俺と小鳥。やっぱり年の差あるな」  翔には自然に考えていたことで、でも小鳥には思い付かないことと言いたいらしい。
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