32.カラダも生意気

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 意地悪なお兄さんは、あどけないヒナの背を制しても、力任せに女を貫いたりしない。意地悪だから、しばらくはじっくり様子を窺って、逆に小鳥に欲しいと言わせようとしている。経験のないヒナに『もどかしい、欲しい』という気持ちを覚えさせているようで、じらしてじらされて『意地悪』と泣いてばかりいると、やっと優しくゆっくり与えて、小鳥がどんな反応をするのか上から眺めている。 「あ、ああんっ」  シーツに頬を埋めたまま震える。  大人のハジメテの体位になすすべもなく、男の責めにいいなりになって、いつものやんちゃ娘も大人しく従うだけ。  そんな従順になった小鳥の唇を、今度は翔の指先が侵そうとしている。後ろを制したままの彼の指が肩越しから小鳥の頬を撫でたかと思うと、喘いでいるヒナの唇を割開いて舌先に触れる。 「小鳥、俺の……」 「もうダメだよ……翔にい……」 「俺もダメだ、もう優しくなんかなれない」 「あ、……はあ……ああ……ん」  あられもない喘ぎ声しか出てこない。 「も、もう、ひどいよ、翔にい……私、まだ……」  まだ二度目なのに。なのにどうしてこんな淫らにされちゃうの? 淫らな女にしてくれちゃうの? ひどいよ……。  そう息だけの声で吐きながら、でも、シーツの上で何回も彼と愛しあってきたように奔放に乱れていた。  感じるまま淫らになってしまえばいい。  おりこうさんな意識はぼんやりと霞んで、あくどい女のようにして、小鳥も翔の肌に愛撫を繰り返した。
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