3.お兄ちゃんのマンション

9/9

2647人が本棚に入れています
本棚に追加
/316ページ
 ――小鳥。  ずっとずっと前から好きだった笑顔を見せてくれる。そしてついに、小鳥の肌に男の熱い手が触れる。  彼が探しているもの。彼が欲しいもの。そのなにもかもを解っていて、小鳥は覚悟を決める。  その時、ハジメテ。身体の奥でつきんとした狂おしい痛みを感じた。下腹の奥で熱く。何かが滲み出てくるような、切ない痛み。  岬の夜よりずっと強く感じた。これが女になるサインなんだと、小鳥は翔の肩先に頬を押しつけて、今度は自分から彼の背にしがみつく。 「おいで」  隣の椅子に座っていた翔が、小鳥の手を引いて立ち上がる。  その手を引かれて、連れて行かれたのは。あのベッドルーム。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2647人が本棚に入れています
本棚に追加