4.ハジメテの夜

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 小鳥――。  キスが終わると、彼の息だけの囁きが熱く耳元に触れる。翔の手がさきほど荒っぽく引き出されたタンクトップの下に再び潜り込んでいく。男の大きくて骨張った手が熱く肌に触れただけで、小鳥はびくりと震える。 「小鳥、緊張――しているな」 「……だ、大丈夫だから」  なにもかもハジメテだと知っている彼が、とても気遣っているのがわかる。肌に触れた男の手に、小鳥は『躊躇い』を感じ取っていた。  岬で初めて肌に触れてくれたお兄ちゃんの手は、こんなに迷っていなかった。あの時の翔兄の手は、気遣ってくれていたけれど、本当に男の渇望を秘めた手だったと――、小鳥は女として感じそこに初めての悦びを得ていたといまなら思う。  でも。今日の翔兄は躊躇っている。小鳥のふっくらとした乳房を包んでいるランジェリーの真下で止まっている。 「平気だって」  どこまでも見つめてくれている黒い目に、小鳥は微笑みかける。でも、もしかするとひきつっていたかも? ううん、もうなにも気にしない!  さらに覚悟を決めた小鳥から、着ているチェックシャツを脱ぎ始める。タンクトップ一枚になったら、今度は自分からデニムパンツのボタンを外して、素足を彼に見せた。  ハジメテの私が怖がっていると、優しいお兄ちゃんを困らせてしまうから。  そういう思いきりだった。  もしかすると、翔兄から見れば、いつもの小鳥に見えるかもしれない。『何事も思い切っている女の子』である小鳥を見て、らしい――と思ってくれたのか急におかしそうに笑ってくれる。
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