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額から丁寧に落ちてきた翔の唇が、小鳥の唇へとキスをしようとしたその時、小鳥の鼻先からじっと瞳を見つめてくれる。
「俺の背中に抱きついて」
「うん」
まかせっきりで放っていた腕を、彼の大きな背中にまわしてそっと抱きついた。
「……ひっかいても、いいから」
「わかった」
小鳥の足と足の間で、翔がきちんと準備をしているのがわかった。
ついに、来ちゃうんだ。力を抜いて、お兄ちゃんを困らせない様に。
「小鳥。俺の小鳥」
そんなふうにいいながら、大好きなお兄ちゃんが、柔らかいキスをしてくれる。深く、長く。
俺の小鳥なんて――。嬉しい。やっとひとりの女性として、お兄ちゃんが受け入れてくれた。その喜びが胸いっぱいにひろがって、小鳥も彼の背に抱きついて、翔の唇を一生懸命に吸った。
キスってとっても素敵。お兄ちゃんの優しい匂いがする。熱くて、とろけそうで、お兄ちゃんが男らしくて、でも優しいってすっごく伝わってくる。
うっとりするキスに夢中になって、小鳥はなにもかもを大人の彼に預けて……。
足の間とお腹の下で、熱いものを感じた。硬くて、熱くて。それが小さなところに押し当てられたのがわかる。
お兄ちゃんの顔も違う。
「小鳥――」
息んだ顔に汗が光っていた。息を止めて、その瞬間だけ、怖い顔。小鳥も目をつむる。彼の力んだ呻き声が少しだけ響いた。
「っ、い、痛っい!!」
力いっぱい、両腕が伸びて、目の前の重いものを思いっきり突き飛ばしていた。
小鳥ははっとして目を開ける。唖然とした翔の顔があった。
「び、びっくりしただけ。平気だから」
慌てて小鳥は翔に微笑んだ。
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