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ほんとうに? 言葉にならず、でも隠れていた胸元から、彼の顔を見上げた。
「それに、小鳥はまだ男の気持ちわかっていないなあ」
「男の、気持ち?」
一瞬、あのお兄ちゃんがちょっと意地悪に笑った様な気がした。いや、気じゃなかった。いたずらな笑みのまま、それまで優しく包んでくれていたブランケットをばさりと大きくめくり、再び小鳥の裸体を晒した。
「ちょ、な、なにするの。お兄ちゃん」
慌ててはがされたブランケットを手で追って引き戻した。でも、翔はそれを許してくれず、男の力で小鳥が握っているシーツを奪ってしまう。
仄かな灯りの中、ふんわりと浮かび上がる女の裸体。彼の目が熱っぽくそれを見つめてる眼差しに気がついて、小鳥も大人しくその視線を許しじっとした。
「ほら。女らしくなった。それで充分なんだよ」
慈しむ眼差しのまま、彼がそっと小鳥の胸元にキスをしてくれる。
収まったと思った男の熱気がふわっと小鳥の肌に戻ってきた気がした。お兄ちゃんの体温が高くなる、熱くなる。その通りに優しいキスが一変して、また獰猛な男の唇へと戻っていく。
「あ、あっ。お、お兄ちゃん」
乳房の柔らかい膨らみに触れそうで触れない、輪を描くようなキスを繰り返している。
初めて、彼に胸の先を吸ってほしいと欲した。なのにしてくれないからそこがツンと尖ったまま放置され、彼は外堀から攻めていくようなじれったい愛撫のキスをするだけ。
言える訳ない、言えない。まだ言えない。
「どうして欲しい? 小鳥、いま、すごく女らしい顔している」
「い、意地悪」
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