5.ハジメテの子が、ハジメテ

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「絶対に。他の男達も、外見も性格もボーイッシュな小鳥が、本当はとんでもない女らしさを秘めている瞬間を見て、釘付けにされた一瞬があるはずだって……」  大学の友達、バイト先の同僚。小鳥の周りにいる男達が全て。 「誰も女扱いなんかしてくれないよ」  彼の顔が、枕に寝そべっている小鳥の真上に戻ってくる。愛撫してくれた唇が濡れている。  お兄ちゃんの目が真剣で、小鳥も黙って見つめ返した。 「そうやって小鳥が無防備だから、他の男がその隙を狙っていないかずうっと心配だったんだ、ずっと! 小鳥はまだわからないかもしれないけれど、男は知っているし、見えるんだ。女が身体の奥に秘めている女らしさを、嗅ぎ取るんだ。最後は外見じゃないんだよ」  彼の大きな手が、小鳥の頬に触れると、優しいキスが落ちてきた。 「俺は知っている。小鳥が小鳥のままでも、女らしいこと。やっと触れられるようになった」  今夜はそれだけで、俺は充分。 「二十歳、おめでとう」  熱い体温に包まれ、小鳥も彼のキスを深く受け入れて男の弾力ある唇を吸った。 「ありがとう、翔兄。今夜、翔兄と一緒にいられて嬉しい。私の夢が叶ったんだよ」  ずっと好きだった。大人になったらお兄ちゃんのような人と恋をしたいな。少女だった自分のおませな気持ちがいつしか初恋になって、焦がれる片想いになって。そしていま、彼と体温を分け合っている。  翔兄って。眼差しは涼しげで凛々しいけれど、裸になるとすごく熱いね。それがまだ言えないまま、でも小鳥は満たされた気持ちのまま、素肌で彼の背中を抱き返した。
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