2649人が本棚に入れています
本棚に追加
/316ページ
「絶対に。他の男達も、外見も性格もボーイッシュな小鳥が、本当はとんでもない女らしさを秘めている瞬間を見て、釘付けにされた一瞬があるはずだって……」
大学の友達、バイト先の同僚。小鳥の周りにいる男達が全て。
「誰も女扱いなんかしてくれないよ」
彼の顔が、枕に寝そべっている小鳥の真上に戻ってくる。愛撫してくれた唇が濡れている。
お兄ちゃんの目が真剣で、小鳥も黙って見つめ返した。
「そうやって小鳥が無防備だから、他の男がその隙を狙っていないかずうっと心配だったんだ、ずっと! 小鳥はまだわからないかもしれないけれど、男は知っているし、見えるんだ。女が身体の奥に秘めている女らしさを、嗅ぎ取るんだ。最後は外見じゃないんだよ」
彼の大きな手が、小鳥の頬に触れると、優しいキスが落ちてきた。
「俺は知っている。小鳥が小鳥のままでも、女らしいこと。やっと触れられるようになった」
今夜はそれだけで、俺は充分。
「二十歳、おめでとう」
熱い体温に包まれ、小鳥も彼のキスを深く受け入れて男の弾力ある唇を吸った。
「ありがとう、翔兄。今夜、翔兄と一緒にいられて嬉しい。私の夢が叶ったんだよ」
ずっと好きだった。大人になったらお兄ちゃんのような人と恋をしたいな。少女だった自分のおませな気持ちがいつしか初恋になって、焦がれる片想いになって。そしていま、彼と体温を分け合っている。
翔兄って。眼差しは涼しげで凛々しいけれど、裸になるとすごく熱いね。それがまだ言えないまま、でも小鳥は満たされた気持ちのまま、素肌で彼の背中を抱き返した。
最初のコメントを投稿しよう!