6.お兄ちゃんに限って、そんなこと!

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 浅黒く日に焼けた肌に、白い歯を見せ、溌剌とした笑顔を見せるその人の向かい席へと小鳥は向かう。  向き合って座ると、スタッフがオーダーを取りに来る。 「紅茶と、……」  メニューを眺める。なんといってもここのイチオシは『アメリカンタルト』。サイズも少し大きめ、ストロベリーにチェリー、パンプキン、そしてオレンジ、こちらもオールドスタイルのタルト。 「ストロベリーパイを一緒に」  かしこまりました。と、スタッフが去っていく。 「ここのタルトパイ、デカイだろ。俺はムリ」  目の前の先輩がため息をついた。 「そうなんですよね。アメリカンサイズ。美味しいんだけど、最後、ちょっとお腹が苦しくなっちゃう」 「で。最後に『食べきれない~。お願い、食べて』と言ってくれると、そこが可愛くて、それなら食べちゃうかな。俺」 「宮本さんは、ほんと相変わらずですね~」  非常に慣れた調子で軽くいう。既によく知っている先輩の言いぐさだが、小鳥は苦笑いを浮かべてしまう。 「小鳥は、そうは言ってくれなさそうだな。うん、でも、小鳥はそのままがいいな。それが小鳥って感じ。甘えているお前なんか想像もつかない」 「そんな私だから、先輩とこうして話し合えるんですよね」  はいはい、私は女らしくありませんよ。と言い捨てながら、小鳥は肩にかけていたトートバッグからスケジュール帳を出して広げた。  そうでなければ、話し合いなんかそっちのけ。この先輩はすぐに女の子の手を握って、こうだよね、ああだよね、君可愛いねとやり出すのだから。
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