6.お兄ちゃんに限って、そんなこと!

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 小鳥も最初は『挨拶』として、それをされたことがあるが、この先輩をMR2の助手席に乗せて峠を走ってから、がらっと態度を変えられた。『小鳥は女じゃない』とハッキリ言われた。でもかえって好都合、さっぱりした。  それからこの先輩が、本当の意味で、小鳥と真っ正面向き合って付き合ってくれるようになった。  宮本圭介、国大経済学部の三回生。今春、四回生になる。こちらは『レジャーサークル』の部長。キャンプをしたり、サーフィンをしたり。とにかくアウトドアで楽しもうというサークル。彼はいまサーフィンに凝っていて、それでいつも男らしく日焼けをしている。 「さーて、さっさと話を済ませよう。このあとバイトだろ」  挨拶代わりの冗談言い合いもそこそこに、二人はすぐに話し合いを始める。向かいの先輩もどっしりとした黒革のスケジュール帳をテーブルに広げる。ちゃらけて軽く見えるが、やるべき事はきちんとやりこなす几帳面さもあって、だから皆から頼られるリーダーでもある。  こちらの国大のレジャーサークルと、小鳥の女子大サークルとが提携して、まとまった人数で出かけて楽しむという流れになっている。  アウトドアサークル『ネイチャー』が大勢でわいわい出かけたい(女の子と!)という希望と、女子ばかりの女子大の『ドライブサークル』(通称、おでかけサークル+男子もいるよ)の希望が一致し、今年で提携三年目を迎える。様々なイベントをこの先輩と企画し、二校交流を含め、楽しんできた。 「小鳥ももう三年生か。そろそろ就活を意識する頃だな。小鳥と花梨も忙しくなってくるだろうな」 「先輩も就活大詰め、そして卒業準備ですね」
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