9.二人きりになれません

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9.二人きりになれません

「父ちゃん。私、瞳子さんを探しに行ってくる。やっぱりダメだよ。放っておいたら」 「そうだな。女一人、この港町を徒歩でうろついているのは危ないな。だけれど、おまえも危ない。エンゼルが狙われたんだ、俺が行ってくる」 「そんなの、怖くないよ。見つけたら今度はとっつかまえてやるんだから!」 「うっせい、黙れ! おまえみたいな子供がよう、どうこうできる相手じゃねえんだよ」  本気の声で怒鳴られ、小鳥も震え上がる。父が絶対命令を下す時の怒声だった。 「行ってくるわ、翔。赤ん坊は、ベッドとかソファーとか高いところに寝かせるな。寝返りするから目を離した隙に落っこちるぞ。柔らかいタオルケットを敷いて寝かせてやれ」 「はい……」  父がスカイラインのキーを手にした時だった。またチャイムが鳴る。  瞳子さんが、帰ってきたかも!? 揃ってそう思ったのか、三人とも玄関へ向かっていく。そしてまた翔がドアを開けると。 「そこで、うろうろしていたのよ」
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