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危機を回避するための運転だったとはいえ――。
『へたくそ!』
子供にも容赦ない偏屈な独身デザイナー、でも人気の凄腕デザイナーである、三好堂印刷のデザイナー部長『雅彦おじちゃん』の冷めた目を思い浮かべた小鳥は震え上がった。
✿・✿・✿
それから暫く、龍星轟の男達は夜遅い残業をするようになった。
その中の一時間は、英児父を中心に事務所でなにやらミーティングをしている。
「ランエボXをとっつかまえるぞ!」
ついに父ちゃんが動き出す。
あれからランエボにやられた車は龍星轟には入ってこなくなった。整備部長のおじさん二人の外部調査でも、白のランエボに襲われて持ち込まれた様子の車は、他の整備店でもないとのことだった。
エンゼルにぶつけてからなりを潜めてるランエボX。逆に不気味だった。
大人の男達の話し合いに、小鳥は入れてもらえなかった。
つまり。まだまだ子供、あるいは女だから。そう言われているような気がして、小鳥の気持ちは徐々にもやもやとして、すっきりしないものが胸の中に渦巻くようになっている。
そして翔兄とも。夜遅い帰宅になるので、小鳥は暫くあのマンションに行っていない。
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