10.痛いの、痛いの、とんでいけ

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 親友のいうことを信じたいところだが、長く付き合ってきた小鳥から見ると『適当に流された』と感じずにいられない反応だった。  だけど。ここで深く入るのは、いまはやめておこうと小鳥は黙る。 「接客してくれたのが、お母さんだった」 「そうなの!?」  大胆に恋する彼の母親に花梨が接触していて、これまたびっくり仰天! 「着物を着こなしている女将さん。本当に老舗和菓子屋の跡取り娘、女将さんだったよ。私にはにこにこお上品に優しく接客してくれたけど、アシストについている若い店員には、時々厳しい顔を見せるのね。言葉はやんわりしているけど、目で動かしていた。迫力あった。はあ、やっぱダメだもう」  イメージ通りのお母様らしく、小鳥もなにもいえなくなる。  だけど言えることがひとつ。  やっぱり恋い焦がれている。そうでなければ、見知らぬ街に講義も放って突発的に見に行ってみようなんて思わないはず。 「宮本先輩、花梨ちゃんの連絡をまっているみたいだったよ」  先日会ったときに、ちょっと寂しそうにスマートフォンを握って花梨のことを尋ねた彼の顔を思い出す。きっと宮本先輩のメールにもあまり返信していなかったんだと小鳥は察した。 「そうなんだ。ふうん」  やっと花梨がちょっとだけ微笑んだ。やっぱり気にしてもらえると嬉しいに決まっている。 「連絡してあげてよ。花見の計画立てているから、花梨ちゃんも手伝って。ちょっとさあ、うちも龍星轟で大変なことあって……」 「大変なこと? エンゼルに乗っていないし、なにかあったの?」  実は――と小鳥は、ダム湖であったことを花梨に報告する。彼女も留守の間に起きた小鳥の事故に顔色を変えた。
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