29人が本棚に入れています
本棚に追加
一階に下りると、麻美おばちゃんはソファーに座っておんおん泣いていた。
挨拶をしていいものか悩んでいたときに、後ろからおばあちゃんが階段を下りてきた。
「麻美ちゃん、どないしたんや」と言いながらソファーに座って、おばちゃんの背中をさすりだす。
おばあちゃんに緩い力でああして背中をさすってもらうと、とても落ち着いた気持ちになることを思い出していた。
「おおちゃん・・」
麻美おばちゃんはそう言って、おばあちゃんに抱きついた。
おばあちゃんの腕は、麻美おばちゃんの背中には回りきらない。でも片手でゆるゆるとさすりながら、片手でぽんぽんと麻美おばちゃんの背中を叩いてあげていた。
私は冷蔵庫の水をグラスに入れながら、三人の様子を伺う。
やっと泣き止んだ麻美おばちゃんが、子供みたいにくすんくすんと鼻を啜りながら言った。
「おおちゃん、博美姉ちゃん、えらいことやねん。うちのお母さん、ガンやねん」
私はグラスを倒しそうになった。
最初のコメントを投稿しよう!