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驚くことが起こったのは、お母さんたちが旅行代わりのランチに行った日。起こったというか、それは既に起こっていたことで、その日にわかったというのが正確だけど。
おばあちゃん三姉妹の末っ子がハルおばあちゃんだ。チャキチャキした性格でスマホも使っているし、チャットアプリlimeもしている。髪は紫に染めている小粋なおばあさんだ。
みんなに「おおちゃん」と呼ばれているおばあちゃんは、長女気質のしっかり者で優しい。
真ん中のアキおばあちゃんは、のんびりとマイペースで今で言う天然系。
三人のなかで一番元気いっぱいなのは、ハルおばあちゃん。母親がチャキチャキしているせいか、ハルおばあちゃんの娘、幸恵おばちゃんは逆におっとりしている。
ランチの席で麻美おばちゃんが、幸恵おばちゃんにアキおばあちゃんの癌のことを伝えたとき、幸恵おばちゃんはとても驚いたらしい。
そして続いた「実はうちのお母さんもやねん」という幸恵おばちゃんの言葉に、一番驚いたのは間違いなくお母さんだったと思う。
ハルおばあちゃんは子宮癌だった。
癌は日本人の死亡理由の一位。昨年の統計では日本人女性の約48%がかかっていた。病名だけで恐れられた病はもうポピュラーなのかもしれない。でも三姉妹全員なんて。
最初に検査を受けて判明していたのはハルおばあちゃんだった。
幸恵おばちゃんには娘が二人いる。下のお姉ちゃんがうちのお兄ちゃんと同じ歳だ。検査結果がでたとき、娘たちと相談してハルおばあちゃんには伝えないことにしたらしい。
今回、アキおばあちゃんの話を聞いて二人に打ち明けてくれた。
そうなったら、うちのお母さんも言わないわけにはいかない。
仲良しの従姉妹たちは、そんな辛いことまで同じように受け止めることになってしまった。
「三人で泣いた」
おばあちゃんが自分の部屋で好きな時代劇を観ている時間に、そんな話を教えてくれたお母さんは、またうっすらと涙ぐんでいた。
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