でたらめ先生のうそつき授業

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まあ、そんな感じでエックスザウルスは暮らしていた。ところがあるとき、困ったことが起きた。それは先生が生まれる少し前のことだった。 急に子どもが増え始めたんだ。わかるだろ?子どもってのは、一人だとかわいいけど、二人以上になると急に困った存在になる。 その頃突然ベビーブームが起きて、猫も杓子も赤ちゃんを産むようになった。そこかしこに人間や猫や杓子の子どもがいた。一時期は電信柱よりも赤ちゃんの数の方が多いなんて言われていたぐらいだ。 産婦人科が足らなくなってしまったから、頭髪科と近視科を全部産婦人科に変えてしまった。おかげでハゲが増えて、眼鏡屋が繁盛した。 この状況を見ていたエックスザウルスは、おおいに喜んだ。まわりにおいしそうな赤ちゃんがいっぱいいるからだ。最初のうちは、調子に乗って、次から次へと赤ちゃんを食べていった。 赤ちゃんは子どもよりも食べやすかった。しかもエックスザウルスの好みに合う味だった。もちろん丸飲みだよ。でも喉越しが違うんだ。子どもの場合は、大人ほどではないけれど多少はゴツゴツしてるから、飲み込むときに引っかかるときがある。 でも赤ちゃんは大抵丸くてつるんとしているから、いくらでも食べれた。いくらでも食べれるものだから、エックスザウルスは止まらなくなってしまった。 おまけに食べても食べてもお腹いっぱいにならなかった。何故だかわかるかい?赤ちゃんは栄養があるから、食べた途端にエックスザウルスの体も大きくなる。大きくなれば、さらに腹が減る。だからますます止まらなくなる。 でも、そんな風に食べていれば、やがて大人たちに知られる存在となる。今まではひっそりとやっていたのを、手当たりしだいに食べるものだから、もう隠れることはできなくなってしまった。体も相当大きくなったしね。 では大人たちはどうしたか。はたして悲しんだのかというと、事実はまったく逆だった。それは大変に喜ばしいことだったんだ。 なにしろ世の中は空前のベビーブームだ。赤ちゃんが生まれすぎて大人たちも困っていたんだ。お母さんのおっぱいは一人につき二つしかないのに、赤ちゃんはその何倍もいたから。 だからエックスザウルスは感謝された。もしこのまま大量の赤ちゃんが順調に育ってしまったら、とんでもないことになってしまう。 既にオムツ工場はフル稼働していた。でも作っても作っても足らない。店にはいつもオムツが不足していた。たまに入荷すれば、もう取り合いさ。オムツを巡る争いが全国各地で頻繁していた。 テレビゲームのメーカーは、ゲーム機にコントローラーを10個付けて売るようになった。それはさらに拡張機能でもう10個付けることができた。牛乳も足らないから、牧場を潰して工場を建てた。その頃の牛乳は工場で作っていたからね。おもちゃのガラガラを作るために、罪もない大量のガラガラヘビが犠牲になった。それまで日本の道端に普通にいたガラガラヘビが、そのとき姿を消したんだ。
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