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プロローグ
外から運動部の掛け声が聞こえる。きっと白球が天高く上がっているのだろう。
空には澄んだ水の中を一つの雲が優雅に泳いでいる。まるで海を泳ぐホッキョクグマみたいに。私も合わせて泳いでみる。冷たい水が日焼けしている肌に触れて気持ちいい。
というのは嘘。現在私がいる場所は炎天下の中でも、ましてや海の中でもない。
「私も泳ぎたいな」
机に突っ伏して独り言をつぶやく。
冷房が効いている室内、埃と紙の独特なにおい、そして壁一面に敷き詰められている本たち、私はかれこれ二時間ほど学校の図書室でぼんやりと空を眺めていた。
それなら泳ぎに行けばいいじゃないって? それがそんな簡単な話ではない。
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