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『先日起こった無差別殺傷事件の続報です。現行犯逮捕された容疑者は動機について「ゴミを掃除した」などと犯行を(おおむ)ね認めているもようです。意識不明の重体だった男性は搬送先の病院で容体が急変し死亡しました。警察は医療体制に問題がなかったか……』  彼の居なくなった週末のスクランブル交差点。そこにある巨大モニターに映るニュースを見ながら私は肩を落としていた。  私とした事がとんだ失態だったと思う。彼を世間の呪縛から解放するなら交差点でと拘ったが故に、あんな男の力を借りてしまった。その結果、彼を数時間苦しめてしまった。 ――冷静に場所を選んでいたら、いつも通り一人で良かったのに。  でもこの後悔は次に活かせる貴重な経験になるだろう。いや、しなくてはいけない。もうしばらくは彼に抱いた名も知らぬ感情と付き合ってみようと思った。   身につけたブランド品にしか価値のない女達が視界の隅を通り過ぎていった。あの時、倒れた彼を好奇心剥き出しで動画や写真に納めていた奴らだ。たとえ私の落ち度だったとしても、彼を(はずかし)めた奴らは相応しい処理をしないといけない。彼への想いが再び燃え上がり、私は女達を追ってスクランブル交差点の雑踏の暗闇に身を沈めた。 〈愛しき狩猟者 完〉
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