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「あ、そうだ真実を誓う日だからこれも言っとかないと」思い出したように優馬が言った。
「ん、なに?」
ふーっと画面の向こうの優馬が息を吸い込む音が聞こえる。
「今年こそインターハイに出ーる!」
明里のスマートフォンはキーンと悲鳴をあげながら優馬のその声を伝えた。
「うるさいよ何時だと思ってるの!」
「はは、ごめんごめん。今年こそ真実にするために言っとかないとと思って」
「そうだとしてもだよ」
「あ、あとそーだ」
「ん?」
「今年も明里と同じクラスになるぞ!」もう一度大きな、でもさっきよりは控えめの声。
「ふふっ」優馬の言葉に思わず笑みが溢れた。
「なんか真実の誓いっていうより流れ星への願い事みたいになってない?」
「そうかな、まあいいだろ。思いが強けりゃ叶うはず!」
「ふふふっ」
いつも通りの優馬の自信満々さが見えて笑ってしまう。同時に、いつも自信満々の優馬が、告白は本当に自信がなかったんだなとなんだか急におかしくなった。
アーと大きな口を開けて優馬があくびをした。
「なんか安心したらちょっと眠くなってきた」
「ふふっ明日朝から練習あるしね」
「そーだなあ。そろそろ寝るか」
「うん、そうしよっか」
いつの間にかゆうに一時を回っていた。
お肌にはあまり良くないが、きっと優馬の告白でプラマイ0いや、むしろ断然プラスだ。
「じゃあ、優馬から切ってね」
「なんでだよ、明里から切れよ」
「やだ」
「俺だって嫌だよ」
「じゃあせーのにする?」
「ははっ。ちょっとそれ憧れだよな」
「うん。私もしてみたかった」
ケタケタと2人で笑い合う。
「じゃあ行くぞ」「「せーの」」
合図で画面を押すとふっと部屋着姿の優馬が消えて、トーク画面に戻った。
満面の笑みのを抑えきれないままでベッドに寝転がる。
まだまださっきまでのドキドキは続いていた。
ギュッと強く目を瞑る。
寝転がっていると心臓のバクバクという鼓動はベッド全体に広がってよりいっそう大きく聞こえる。
電話をする前とは違う理由で、しばらく眠れそうな気はしなかった。
だけど、いくら寝不足になったって明日は早起きして練習にいく。
いつもよりもっと早起きして、いつもよりしっかりメイクして。
優馬と同じグラウンドに向かうんだ。
Fin
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