エイプリルフールの小さな嘘

5/5
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
僕は、学年が繰り上がり高校二年生になった。 今日は始業式があるので久しぶりに登校している。 電車のドアが開くと、サラリーマンやどこかの高校か分からない学生が乗ってくる。 そして、ポニーテールの女子高生が僕の前に立った。 僕の耳に、彼女と友人の会話が流れていくのだった。 「春休みってどうだった? everythingを見てたら、誰かが私の<質問コーナー>に、”エイプリルフールの嘘を教えて”って言ってきて……」 ……どこかで聞く言葉だった。 「だから私、”父親がハムスターだ”って書いたんだよ。 面白い人がいるんだね~」 僕がした質問のことだった。 とっても小さい嘘が、まこちゃんを召喚してくれたような気がした。 彼女が、目の前に居る……。 彼女の素顔を、表情を初めてしっかり捉えた。 その屈託のない笑顔が、電車の窓から入る朝日に照らされてキレイに輝いていた。 -おわり-
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!